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Vic Cherikoff, The Bushfood Handbook まえがき 人口が増加し、資源の供給能力が不足することが予想される今。ブッシュフードに対する関心の高まりは、人間が環境破壊なくして自由に食糧を収奪することは、もはや出来ないことを意味しています。またその風潮は、自然の流れでもあるのです。これらの野生動植物の食材を、自宅菜園で栽培できるようになれば、ブッシュフードを手軽に味わえるようになるでしょう。それは食生活において、栄養とバラエティの幅を大きく広げることにもなります。本書では、オーストラリアの野生動植物がどの地域にどのような植物が生育しているか、また薬草として必要な植物はどれかなどを紹介しています。 この本は、ブッシュフードをより深く知るきっかけとなるように構成されています。ブッシュフード素材の用途には大きな幅があり、どの方法が最良であるいは最悪かということを、一概にはっきりとは言えません。いくつかの素材は関連植物を認識するために、詳細に渡って描写あるいはグループ分けされています。オーストラリア全土の植物リストには特殊な地域、特に南東、北及び内陸部に自生しているブッシュフード素材も掲載しました。そして、州ごとに分布している種類、植物形態、栄養成分、食用可能部分の処理方法等を明記しています。すなわち、ブッシュフード素材を見分けるガイドとなるように構成されているのです。植物に詳しくない人にとって最もやさしい勉強法は、サンプルを収集して近くの薬草あるいは植物園で植物名などを調べる事でしょう。植物名や性状をさらに詳しく調べたい人は、本書に記載してある参考文献をご覧になることをお薦めします。 ブッシュフードハンドブックが1989年に書かれて以来、オーストラリアの野生植物に対する関心は、さまざまな方向に広がってきています。ブッシュフード素材は現在私の会社(Bush Tucker Supply Australia Pty)を通じて広く一般に販売されています。オーストラリアの多くのシェフや海外のレストランでは、ブッシュフード素材固有の味覚とその素材同士のコンビネーションの素晴らしさを開拓し続けています。多くのオーストラリアの園芸店ではブッシュフードの素材となる植物が販売されていますし、一部ではブッシュフード産業にて商品開発も進められています。ここ数年でブッシュフードに関する多くの参考文献が出版され、ブッシュフードそのものや活用法が解説されるようになりました。最初の章では、デザイン、技術、園芸、農業、サービス、旅行、アボリジニ文化等を勉強している人々にとって重要な分野である“オーストラリアの植物、ブッシュフードとアボリジニ”を紹介しています。 弊社ではオーストラリア国内の数百人にのぼる収集家から50種類以上にわたるブッシュフード素材を取り寄せています。重要な素材のなかには、都市部の道路や裏庭で自生している植物を手摘みして収穫しているものもあります。第2章では“街中でのブッシュフード素材探索”をテーマに、市街地で見つけられる素材について詳しく紹介しています。 本書ではオーストラリアの気候に合わせてどこに何を植えればよいかがわかりますし、また本書を最後の部分に掲載してある地域別植物分布リストは Society for Growing Australian Plants, Department of Conservation and Land Management or Agriculture, Landcare and Bush Regeneration Groups, the National Parks Service などで発行されている植物リストと併用できます。ブッシュフード素材を見つけたら、近くの園芸店に行って確認してみてください。最近では、多くの園芸店で食用可能な植物が入手できるようになりました。が、購入不可能な植物の種類については、第3章に“あなた自身で植栽・栽培させる方法”が書かれています。ブッシュフード素材の品種開発も行なわれるようになり、ブッシュフードファンや家庭菜園家の役割は非常に重要になってきています。これまで、ブッシュフード素材の品種改良には、アマチュア園芸家が主に活躍してきました。例えば、風味豊かな種無し果物の開発や、芳香の強いハーブに含まれる化学成分の生産、さらに経済的(安く)に食べられる食物リストの作成など。継続的なリサーチ、情報交換それに新しい発見は、ブッシュフード産業の健全な育成に必要不可欠なのです。 オーストラリアにおける料理界のコンセプトは過去10年に渡って大きく成長してきました。そして、その発生から発展過程の歴史は私の近著“Uniquely Australian”で紹介されています。本書の第4章で紹介されているレシピは、今ではブッシュフードのクラシックとなっています。 アボリジニには、“土地を保護しながら継続的に収穫する”という価値観のもと、知恵と伝統に基づいた手法で収穫をしてきました。現在市場で販売されているブッシュフード素材のいくつかは、その従来の方法で野生の植物を収穫しています。“ブッシュの味覚”の章は、自然の恵みのインサイト(真相)を紹介しています。次の章の“ブッシュのサバイバル”では自然の中で生き抜くことを強いられた場合のサバイバル技術を要約しています。 アボリジニとの関係や彼らによる支援や協力は、産業の発展とともに続いてゆきます。ブッシュフードの素材が手軽に入手でき、またもっと簡単に活用できるようにすることで、アボリジニ系レストラン、旅行業者、教育者、消費者一般になじみの深い分野となってゆくでしょう。オーストラリアの大地に精通しているアボリジニが、世界に対してこれらの固有な食材の供給者となりつつあります。オーストラリアにこうしたユニークな食文化があることが内外に知られ、またブッシュフード素材活用法と本質をわかちあえるようになるのも、それほど遠い将来ではないでしょう。このハンドブックを多くの人々が活用し、オーストラリアの自然の歴史を知るためのガイドとなれば幸いです。 (長友信訳) |
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